| 平部の瓦の試験方法 |
瓦屋根標準設計・施工ガイドラインより
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| (1)概要 |
平
部については、一般に支配的な外力は、吹き上げになる風圧カである。そこで、その吹き上げ力と同等と見られる力で引き上げる試験を行う。試験は原則とし
て、瓦の形状、寸法、留付け方法が異なる毎に実施する。なお強風時、風圧力は繰り返し、繰り返し作用する。瓦の不具合は、このような風圧力の繰り返し作用
によって、発生することが知られている。そこで本標準試験では、このような不具合の発生が起きないことも検証できるよう繰り返し加力を行うことにした。繰
り返し加力による不具合が、どの程度の繰り返し回数で発生するかを試行実験で調査したところ、100回程度の繰り返しで、不具合が発生することが分かっ
た。そこで、ここでは安全側の設定で繰り返し回数を150回にした。
繰り返し加力の引き上げ力は基準風速(Vo)、屋根平均高ざ(H)、屋根の部位で決まるピーク風力係数( )等により決定する。なお、必要に応じ地震力に相当するせん断力での試験も実施する。試験は棟の地震力を想定した試験にならって行うものとする。 |
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| (2)試験体 |
| 試
験に用いる試験体は、J形、S形、F形とも、それぞれ図Uー2ー1、U-2ー2、U-2-3に示すように、原則として桟瓦4段×4列相当(F形の場合は下
から奇数段は4枚、偶数段は3〜4枚)を実際と同様の方法で野地板に茸いたものとする。野地等は実際に用いるものと同じ素材で製作する。引き上げ試験で、
引き上げを行う瓦はそれぞれ、図Uー2ー1、U-2ー2、U-2-3で↑印を付けた9枚である。(なお引上げ力に対して9枚以上の瓦が抵抗するので、
(3)で述べるように、引き上げ力はそれに見合って割り増しを行う)引き上げる瓦の中央には、図Uー2ー4〜図Uー2ー6に示すように荷重に十分対応でき
るアイナット(通常M8程度)を取り付ける。 |
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図Uー2ー4
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図Uー2ー1 J形瓦引き上げ基本試験体
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J形瓦アイナット取り付け例
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図Uー2ー5
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図Uー2ー2 S形瓦引き上げ試験体
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S形瓦アイナット取り付け例
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図Uー2ー6
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図Uー2ー3 F形瓦基本引き上げ試験体
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F形瓦アイナット取り付け例
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| (下から偶数段を4枚とするときは3、9の瓦の左に各1枚づつおく) |
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| 瓦の中心にアイナット取り付け穴をあける。F形瓦はアンダーラップ以外の中心である。 |
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| (3)引き上げ力 |
| 引き上げ力は次のように算定する。 |
| 1)平均速度圧の算定 |
| 平均速度圧を次式により算定する。 |
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ここで、 :(平均速度圧)(N/u)
:基準風速(m/s)
:平均風速の高さ方向の分布を与える係数で次式に与えられる。
ここで、 :建築物の屋根平均高ざ(m)、なお 以下の場合は としなければならない。
、 、 :地表面粗度区分(通常Vであるが、極めて稀にTやUもありうる、
第T編の第3章を参照のこと)によって決まる数値、表T-3ー1を参照
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| 2)風圧力の算定 |
| 風圧力は、次式により算定ざれる。 |

ここで、 :風圧力(N/u)
:ピーク風力係数(吹き上げの場合、屋根勾配と屋根の場所により、-5.4、-4.3、-3.2又は-2.5)
〈例〉
基準風速( )=36m/s、地表面粗度区分V、建築物の屋根平均高さ( )=7m、の場合、一般部(ピーク風力係数-2.5)の風力は以下のように求められる。

(N/u)
(N/u)
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| 3)引き上げ力の算定 |
瓦9枚分の引き上げ力 は、次式により算定する。 |

ここで、 :瓦9枚分の引き上げ力(N)
:有効瓦枚数の働き面積(u)
く例〉
J形53Aの場合、試験すべき風圧力が上記の例の-1062(N/u)であれば、引き上げ力は次のようになる。なお、有効瓦枚数は表U-2ー1から10.5枚とした。
1枚あたりの働き面積は、0.235×0.265=0.0623u
有効瓦枚数の働き面積は、0.0623×10.5=0.65u
よって、瓦9枚分の引き上げ力は、
−1062×0.65=−690(N)=−70.4(kgf) |
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なお、有効瓦枚数は吹き上げ力に対する瓦の抵抗形態により決定する。ここで、有効枚数についてその考え方を解説しておく。瓦の野地板等への緊結は、全ての
瓦についてなされていなかったり、各瓦の緊結位置が瓦の左右の中心でなかったりする。そこで、ここでの標準試験のように限られた枚数を取り出し、単純に引
き上げ荷重を掛けた場合、図U-2−7に示すように端の瓦が、極端にめくれ上がりを起こす。しかし実際の屋根では、試験体としては再現ざれなかった側の隣
接瓦によりそのめくれ上がりは抑えられる。そのため、風圧力等を受けたりしても、大きなずれ等が生ずるまでは、端の瓦だけ極端にめくれ上がることはない。
なお、図U-2-7では右端の瓦がめくれ上がる図になっているが、留付け方法によっては左端の瓦がめくれ上がる場合もある。
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図U-2-7 端の瓦だけがめくれ上がり
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つまり、限られた枚数の瓦を取り出して全ての瓦を引き上げると、瓦の抵抗形態が変化し、端部の瓦が容易に脱落を起こしてしまう。これでは本来の試験になら
ない。そこで、そのような端部の瓦の脱落が生じないよう、図Uー2-8のように、ダミーの瓦を端部に置く方法が考えられる。 |
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図U-2-8 ダミー瓦を付加した試験
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これで端の瓦が極端にめくれ上がることは抑えられるが、今度はダミーが抑え付ける力により全体として耐力を過大評価する恐れが出てくる。そこでその抑え付ける割合を割り引こうというのが、有効枚数の考え方である。
ここではJ形を例に有効枚数を決定する考え方を示す。
次の試験体で以下のように引上げ試験を行い、最大耐力を求める。なお、(ろ)が標準試験になるものである。
(い)試験体は3段×3列、引上げ瓦は2段×2段=4枚 (図U-2-9参照)
抑える役目をしているダミー瓦の枚数をB2枚とする。
<注>抑える役目をしていない瓦は加算する必要はない。
(ろ)試験体は4段×4列、引上げ瓦は3段×3段=9枚 (図U-2-10参照)
抑える役目をしているダミー瓦の枚数をB3枚とする。
(は)試験体は5段×5列、引上げ瓦は4段×4段=16枚 (図U-2-11参照)
抑える役目をしているダミー瓦の枚数をB4枚とする。 |
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図U-2-9 試験体2段×2列
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図U-2-10 試験体3段×3列
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図U-2-11 試験体4段×4列
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求められた最大耐力を 2、 3、 4とする。
ここで、αを0から1まで0.1きざみ程度変化させ
2÷(4+α×B2)
3÷(9+α×B3)
4÷(16+α×B4)
を算定、3つの答えがもっとも近くなるαを求める。そのαを(9+α×B3)に代入して求められる枚数を有効枚数とすればよい。
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表U
-2-1に有効枚数の参考値を示す。J形では、後出の図U-3-6に示すような緊結方法の場合、引上げを行う瓦に隣接し、それらを抑える役割をしている瓦
(図U-2-1では3、6、9の右隣の瓦)の重量のおおむね50%が引上げに抵抗していることが確かめられている。S形、F形についても、同様の緊結方法
であれば、それに準じて有効枚数が見積もれる。なおS形の場合、左下の瓦が右上の瓦を抑えこむ形式のものがある。その場合には後述の防災瓦と同様の有効枚
数となる。
緊結方法が、隣接する瓦をいっしょに緊結するような場合、有効枚数は本表の値より多くなる傾向にある。防災瓦と記したのは、例えばJ形瓦で、右下と左上
の瓦とが互い噛み合う機構を有しており、その噛み合わせにより、互いに一方が浮き上がるのを防ぐ機能を有している瓦を言う。そのような瓦では図U-2-1
の場合で、右上端と左下端の瓦を除いた瓦のほぼ100%重量が有効に抵抗することが確認ざれている。S形、F形にも同様のものがある。 |
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| 表U-2-1 有効瓦枚数 |
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J形
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10.5
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S形
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10.5、14
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F形
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9.5、10.5
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防災瓦
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13、14
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| <注> |
F形の9.5は下から偶数段の瓦の枚数が3枚の場合、10.5は4枚場合のそれぞれ値である。防災の13はF形の下から偶数段の瓦の枚数が3枚の場合の値である。 |
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| (4)加力装置 |
| 加力装置は、引き上げを行うすべての瓦に対し、ほぼ同じ荷重が与えられるものとする。現在そのような方法が実現できるものとして次に紹介するワイヤー方式とエアーシリンダー方式が考えられる。 |
| 1)ワイヤー方式 |
| ワイヤーをエンドレス状にし、上部滑車固定部をロードセルを介してジャッキで引き上げ、加力する方法である。引き上げ荷重はロードセルにより測定する。 |
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図U-2ー12 エンドレスワイヤー方式イメージ図
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| 2)エアーシリンダーによる引き上げ |
| 複数のエアーシリンダーを圧縮空気で加圧し、各々の試験体を均等な力で引き上げる方法である。荷重の計測は、固定部とエアーシリンダー固定部の間に、ロードセルを設置して行う。 |
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図U-2-13 エアーシリンダー方式イメージ図
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| (5)加力方法と試験結果の判定 |
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(4)で述べた加力装置を用い、(3)で求めた荷重までの繰り返し、引き上げ加力を行う。繰り返し回数は150回とする。図U-2-14に加力計画を示す。繰り返しの間隔は1000Nあたり10秒程度(1サイクルあたり5〜20秒)以上とする。
150回の繰り返し加力中、以下の点を目視まどにより確認する。
1)瓦が浮き上がってしまい、所定の加力ができなくならないこと。
2)除荷時に、各瓦がおおむね元の位置に復元すること。(目安として変位がおおむね50mm以下)
この確認ができた場合、試験を行い瓦に伴う瓦の施工方法は、設定した風圧力に対する耐力があると判定する。
なお、150回の繰り返し後、参考のため(3)で求めた値の1.6倍の荷重まで引き上げを実地する。この結果は性能判定には関係させない。1.6倍の荷重に対する耐力があったかどうかはあくまで参考記録とする。
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図U-2-14 加力計画
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